年金のピンチがおさまりません。24日に閣議決定した平成21年度予算案は、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるために支出を増やすなどして、政策経費にあてる一般歳出が当初予算として過去最大の51兆7310億円になりました。ここまで出したなら、年金の財源は危機を乗り越えたのか、といえば、そんなことはありません。今回の基礎年金財源対策は、結局のところビッグスリーへのつなぎ融資と同じで延命措置の意味しかもちません。このままでは、いずれ破綻するか、そうでなければ給付減額、保険料引き上げの選択を迫られることから逃れられません。
年金の財源は、本来は国民が納めている保険料から繰り出すのが筋です。しかし、少子化になって、保険料の財源だけではいずれ底をつくことが明確になっています。
そこで、サラリーマンOBの受け取る厚生年金の定額部分にあたり、また、自営業やフリーターの国民年金にあたる基礎年金については、財源の半分を、一般会計でまかなおうじゃないか、という議論がなされてきたわけです。平成16年の年金制度改革で2分の1まで引き上げること(現在3分の1強)と、その実施時期が平成21年度まで、ということになっていたわけです。すったもんだの末に、とりあえず帳尻はあわせましたが、年金財源をとりまく環境は、2分の1への引き上げで安心できるほど、甘くありません。
いまの年金は現役の若者がおさめる保険料を、高齢者の年金世代が受け取る年金にまわす賦課(ふか)方式です。高齢者がふえれば、年金源資はより多く必要となり、若者が減れば財源は減ることになります。少子高齢化のいまは、この両方が同時に起きています。これが年金財政がピンチになっている基本的な構図です。これに未納未納や無駄遣い不正納付などがさらにほころびを大きくしている状況です。
年金財政をささえるため、すでに年金はあちこちで無理なやりくりをしています。
年金保険料は、厚生年金、国民年金とも引き上げプロセスをたどっています。年金の積立金も今後100年の間に財源につぎこんで、ほぼ使い切ることをすでに決めました。年金の支給額も経済成長に応じてそぎ取る「マクロ経済スライド」など手法の導入も決めました。
これらを決めたさいには、すでに基礎年金財源の国庫負担割合を、2分の1に引き上げることが前提になっていました。今回の予算案できめたことは、その前提部分の形をつくったにすぎないわけです。
しかし経済環境が激変するなか、これで年金財政の不安はさらに加速しているのです。
代表的な変化が、賃金と物価上昇のギャップです。年金生活者の年金額は、毎年物価上昇率に応じて調整しています。最近は原油、電気代のほか日用品の価格高騰などから、物価が上昇局面になりつつあります。そうなると年金生活者の年金額もふやさないと、食べていけないことになります。だから、物価に連動させるのです。
一方、現役世代の納める保険料は、賃金の上昇率に連動します。このところの不況で、賃金は上昇していません。保険料率は上昇していますから、そのぶんは保険料が増えますが、そもそもの賃金があがらなければ、せっかく保険料率が上昇しても、その効果がうすれてしまうわけです。
年金を維持するためには、どうすればよいのか。
1 保険料をさらに高くする
2 年金額をおさえる
3 積立金の運用利回りを画期的に引き上げる
4 ほかの予算をけずって財源を捻出する
こんな、誰でもかんがえられるような方法しか、基本的には解決策はありません。しかも、この解決策のいずれもが困難なのです。保険料をたかくすれば現役世代の生活がくるしい、年金額をおさえれば自民党の票田である高齢者の不満が大きい、利回りの上昇は期待薄。
年金制度の改革案はいろいろあります。個人口座にして、個人が現役世代につみたてたものを、将来とりくずして使うようにするとか。でも、そうしたら、予定より長生きした場合の生活保障をど うするの、などさならなる対応が必要になります。
米国のゼネラルモーターズやクライスラーに米政府が融資をきめましたが、延命措置にすぎないというのがもっぱらの評判です。でも、これを同じようなことを、日本でも全国民がかかわる年金制度でしているのです。


by kentanto
トホホな「モデルさん経済」